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なぜ神社に酒樽がある?神様と日本酒の関係は?菰樽について解説します

神社でよく見る大きな酒樽。何の違和感もなく神社の風景に馴染んでいます。
では、なぜ神社にあるのか・どんな意味があるのかご存知でしょうか?

当たり前のようにそこにあるものだけど、意外と知らないことって多いですよね。

今回は、知ってるとより神社参拝が楽しくなる!「酒樽」について解説していきます。



菰樽

神社で見かける酒樽の名称は?

神社によく置いてある酒樽。その名称は「菰樽(こもだる)」と言います。
藁(わら)で織った菰(こも)が巻かれた酒樽で、1個あたり4斗(約72リットル)入りです。

一般企業・個人・酒造などから奉納されたものが、参拝者の見えるところに置かれています。

菰(こも)
水辺に生えるイネ科の多年草

菰樽の始まり

菰樽は江戸時代、酒の名所(灘・伊丹・伏見)から江戸に高級酒を海上輸送する際、樽を傷めないよう保護するために巻いたことから始まりました。

菰には酒の銘柄が書かれていて、酒造元の特徴を表したデザインになっています。現代では、より銘柄が目立つようにと意匠を凝らしたデザイン性の高い菰樽が多くなりました。場の雰囲気が盛り上がったり、銘柄のアピールになっています。

奉納酒樽の始まり

では、菰樽が神社に奉納されるようになったのはいつからでしょうか?

奉納酒樽の文化は、お酒の神様がお祀りされている、京都府京都市の『松尾大社』が始まりと言われています。各地の酒蔵から『松尾大社』に酒樽が奉納されたことが日本各地の神社に広まり、現在では様々なところで見られるようになりました。京都は酒蔵が多いこともあり、特に京都の神社には奉納酒樽がたくさんあります。

菰樽をいただくとき

奉納された菰樽のお酒は「誰が」「いつ」飲むのでしょうか?

奉納されたお酒は、まずはご神前にお供えされます。昔から日本酒は神事を営む際に神酒(みき)としてお供えされ、御祈祷が終わると参列者に振舞われたり、お祭りに協力した方々に御礼としてお渡しされています。いわゆる直会(なおらい)で使われるということです。

直会(なおらい)
祭祀の後に、神前に供えた御酒(みき)を神職と参列者が共にいただくこと。
神様へお供えした物をいただくことで、神々の恩頼(みたまのふゆ)を戴くことができると考えられています。

鏡開き

菰樽は、祝宴での「鏡開き」にも使用されます。

酒樽の上蓋は、丸い木が銅鏡に似ていることから「鏡」と呼ばれ〝円満〟を意味します。
「鏡」は昔から魂が宿る大切なものとされていましたので、薦樽を開けることは「割る」という縁起の悪い言葉は使わず、〝広がり〟を意味する「開く」という言葉が用いられます。

鏡開きには、「鏡を開くことによって、これからの運を開く」という意味があり、結婚式や祝賀会などの祝儀のあとに枡酒を酌み交わすことで共同体意識を盛り上げたり、新たな出発や区切りに際し健康や幸福などを祈願し、その成就を願うことが習慣となっています。

お正月に神様にお供えした鏡餅を下ろして食べる儀式も

「鏡開き」と言いますね!

明治神宮の酒樽がすごい!

見ているだけで楽しい菰樽の壁

日本一の参拝者数を誇る、明治神宮の菰樽は圧巻です。

なんと高さは6段積み!横にずらーーーっと合計200個以上の菰樽が並んでいます。デザインを見ているだけでも楽しいですし、外国人も釘付けになる日本の神社の面白さがここにあります。

皆さんはどのデザインが好きですか?どこの銘柄が1番多いか数えてみたらまた新たな発見がありそうですね。

和魂洋才を旨とした明治時代

そして向かい側には、フランス・ブルゴーニュ地方の生産者から奉納された「葡萄酒樽」があります。その数なんと60個以上!世界最高峰のワインが並んでいます。

明治天皇が御在世中に西欧文化を積極的に取り入れたこと、ワインを好んで飲んだことから、海を超えて奉納されているのです。

〝圧倒的な数を誇る菰樽〟と〝明治神宮ならではの葡萄酒樽〟
明治天皇が推し進められた和魂洋才の姿がここにあります。

分かっていそうで意外と知らない「菰樽」いかがでしたでしょうか。
神社に行った際は是非「菰樽」があるかチェックしてみてください!



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